新米学校司書がゆく!ぎばのブログ

本のページをめくるように、日々をワクワク過ごしたい。

二人のおばあさん/『リンゴの木の上のおばあさん』を読んで

こんにちは、ぎばです。

昨日は、仕事用かばんを購入しました。軽くてたくさん入りそうなリュックにしました。撥水加工されているので、自転車通勤中に少し降られても本を守れそうです。

あんなに時間を持て余していたのに、あっという間に3月も三分の一が終わりました。月日が流れるのは本当に早いですね。

 

さて、先日やっと図書館に行くことができ、例の借りられなかった児童書たちを借りてきました。1冊だけ読んだので、今日はそのご紹介をします。

『リンゴの木の上のおばあさん』 ミラ・ローベ 作 塩谷太郎 訳

岩波少年文庫2013年版を借りてきましたが、当時私が読んだのはおそらく学習研究社1969年版(ハードカバーで文字がもっと大きかった)ですね。

 

物語は、アンディという少年が主人公です。アンディにはおばあさんがいません。二人とも早くに亡くなってしまったからです。友達は、放課後におばあさんと遊園地に行ったり、遠方からたくさんのお土産を持っておばあさんが遊びに来たりするという話を聞いて、いつもうらやましく思っていました。ある日それを母親に打ち明けると、母親はおばあさんの写真を見せてくれます。そのおばあさんは、羽飾り付きの帽子をかぶり、花の刺繡の手提げかばんを下げ、流行おくれの長い服を着て、すそから白いレースの下履きがのぞいていました。それは、仮装行列で”おばあさんの仮装をした”おばあさんの写真でした。その後、庭にあるお気に入りのリンゴの木に登ってみると、先ほど写真で見たままのおばあさんが座っているではありませんか!それからふたりは仲良く、楽しく、様々な冒険を始めます。

 

どこからきたのかわかりませんが、たしかにアンディのおばあさんでした。あの白いまき毛、あの花のししゅうのついた大きな手さげ…。

「ハロー、アンディ。」と、おばあさんはいいました。

「ハロー、おばあちゃん。」と、アンディも、少しはにかみながらいいました。

「このリンゴ、まだすっぱいのかい?」と、おばあさんはききました。

「とてもすっぱいよ。よくみのってないのをたべると、おなかをこわすよ。」と、アンディはりこうぶっていいました。

「じゃあ、ひとつたべてみようかね。」と、おばあさんはばかなことをいって、まだ青いリンゴを枝からもぎとり、ガリっとかじりました。(本文より引用)

 

陽気で、お金持ちで、楽しいことを何でも一緒にしてくれるのは、アンディの空想のおばあさんです。遊園地ではしゃいだり、海賊と戦ったり、トラ狩りに行こうと誘ってくれるおばあさんです。

 

おばあさんは、なにかかわったものでもあるように、じっと電車の天じょうを見ていました。アンディも見あげました。でも非常ベルの皮ひものほかには、なにも見えませんでした。ひもはたるんで、電車の動きでゆらゆらゆれていました。

「アンディ。」と、おばあさんはそっと言いました。「わたしは、あのひもをひっぱってみたくてたまらないんだよ。」

「だめだよ。」と、アンディはびっくりして小声でいいました。「そんなことをしたら、ばっ金をとられるよ。」(本文より引用)

普通のおばあさんはそんな子供みたいなことを言いません。でも、アンディのおばあさんはこの後誘惑に勝てずひもをひっぱってしまいます。言い訳はちゃんとおばあさんらしくて笑ってしまいました。

 

そして重要なのは物語の後半。アンディの家の近所に越してきた、普通の優しいおばあさんとの出会いが描かれています。その人は腰が悪いため、引っ越しを手伝うなどおばあさんのためにアンディは自然と気遣いをします。するとケーキを焼いてくれたり、靴下の穴をかがってくれたり、おばあさんもアンディを孫のようにかわいがってくれるのです。

 

私はこの本に関して、主に前半の印象しかありませんでした。つまり当時小学生だった私は、「愉快なおばあさんとのワクワクするような日々が面白いなぁ!」と感じたのだと思います。でも、大人になって読んでみると、後半の実在するおばあさんとのかかわりがアンディにとってはむしろ重要なのだなと強く感じました。”おばあさん”とは、単に遊びに連れて行ってくれたり、おもちゃやおかしを買ってくれるだけの存在ではないということです。もっと小さな、細やかな温かい愛情を与えてくれて、時には助けたり気を配ったりと大切にしなければならない存在なのだということを、実のおばあさんを持たないアンディが自然と理解していく様が、優しく描かれていました。

 

小学校2~3年生向けとなっていますが、少し長いです。章ごとにわかれているので、一気読みではなく少しずつ読み進めていくのがちょうどよいかもしれません。おすすめです。

 

 

 

3月9日に祖父が天国へ旅立ってしまいました。91歳でした。

私は祖父母が大好きなので、大学生頃までたまに遊びに行ったり泊まりに行ったりしていました。大人になってからも、時々行っては一緒にお酒を飲んだり、節目にはあいさつに行ったり、娘を見せに連れて行ったりと、割と密な関係だったと思います。

いつもにこにこしていて、口数は少ないけれどたまに冗談もいう人で、お庭の手入れとテレビとお酒の好きなやさしい祖父でした。せっかちでおしゃべりな祖母(86歳で健在です!)とは対照的で、二人のやり取りを見ているのも好きでした。

 

おじいちゃん、いままでありがとう!

これからも頑張るので、見守っていてください。