新米学校司書がゆく!ぎばのブログ

本のページをめくるように、日々をワクワク過ごしたい。

大人だってファンタジー:有頂天家族に入りたい

こんにちは、ぎばです。

まだかまだかと待ち続け、ようやく昨日、配属校が決定しました。

ひそかに希望していたとおり小学校で勤務することになりました!

提出しなければならない書類が山のようにあり、今日はこれから書類作成です。

通勤経路を調べると、最寄り駅から二つしか離れていないのにどう頑張っても3~40分はかかりそう…。家が駅まで遠いのと、駅から小学校がまた遠いためです。これは早起き頑張らなければ。夫や娘の協力も必須になりそうです。その分も頑張ろう!!

 

3月に入り、専業主婦として暮らすのもあと1か月となりました。

ずっと「早く働きたい」と思っていたけど、いざカウントダウンが始まるとちょっぴり惜しいです。時間があるうちにあれもこれもやりたいけれど、そうこうしているうちに4月になってしまいそう。悔いなく過ごしたいと思います。

 

さて、先日、図書館カードを忘れて本が借りられなかったことを書きましたが、昨日友人から突然LINEがきて、「カードがなくても、横浜市のサイトにログインすればケータイだけで借りられるよ!」とのことでした。突然だったので一瞬「?」と思ったのですが、ブログをみてその件だけ教えてくれたのでした。ありがとう!見てますか?笑

 

私が借りられなかった本は、その次の日に娘が学校で借りてきました。

「『リンゴの木の上のおばあさん』は誰かに借りられてたけど、『森おばけ』はあったから借りてきた。読んでみる!」と。

メモも取らずによく本のタイトル覚えられるなぁ。図書の先生にあるかどうか聞きに行ったそうです。

今朝、読み始めたというので、「(おばけたち)もうお引越しした?」と聞いたら「まだ」と。

「ママが子どもの頃はさ、自分の教室にも(おばけが)いるんじゃないかな~なんて思ってドキドキしたなぁ」と言ったら、「教室にお引越しするんだ…。」

 

はっ!しまった…

 

「ネタばれしてごめん;」

と謝りました。まったく、こんなんで学校司書だいじょうぶかなぁ。

 

 

昨日は予定がなかったので、久々に自分の本棚から本を選んで読むことにしました。私は、洋書と時代物を除きますが、割と広いジャンルの本を読みます。昔読んでしばらく開かなかったものも、久しぶりに読むとまた違った味わいがあるものです。

 

江國香織さんや角田光代さんの描く恋愛小説にしっとりと心を濡らし、頭の冴えている日やがっつり読みたいという日は湊かなえさんや宮部みゆきさんの心理サスペンスでドキドキする。喜多嶋隆さんの本はさわやかな気持ちにさせてくれるし、さくっと読みたいときは東野圭吾さん。大人になってからはエッセイなども読みます。群ようこさんの辛口な文章に「そうそう。わかる!」と頷き、東海林さだおさんの書く美味しいものたちによだれをたらすといった具合です。他にも、作家さんで選ばず、本の装丁やタイトルが気になったものは読むようにしています。日本文学科卒として近代文学も多少はたしなみ、夏目漱石はほぼ全作品を文庫で所持しています。やっぱ吾輩は猫であるだよね~。めっちゃ長いけどいつ読んでも面白い。めっちゃ長いけど(二度目)

自分の本棚から本を選ぶのって、おしゃれな人がクローゼットを開けて「今日は何着ようかな~」と考えるのに似ているなぁと思うのです。季節や天気、気温、お出かけのシチュエーションやその日の気分に合わせて選びますよね。私は服はいつも同じような格好をしていますが、本を選ぶときは結構考えます。今の気分はこれ!今日のお供はこれ!って。

 

そして、私がいまなにを読んでいるかというと…

 

有頂天家族』 森見 登美彦 作

 

京都に暮らす狸の一家のお話です。登場するのは主に、狸、天狗、わずかな人間のみ。いいですか、これは絵本でも児童書でもありません。のちにアニメ化はされたようですが、もともと子供向けに作られた作品ではないのです(たぶん)。それを私は、社会人になるかならないかぐらいの時に、真面目に読んで面白がっていたのです。

 

「面白きことは良きことなり!」が口癖の矢三郎は、狸の名門・下鴨家の三男。宿敵・夷川家が幅を利かせる京都の街を、一族の誇りをかけて、兄弟たちと駆け廻る。が、家族はみんなへなちょこで、ライバル狸は底意地悪く、矢三郎が慕う天狗は落ちぶれて人間の美女にうつつをぬかす。世紀の大騒動を、ふわふわの愛で包む、傑作・毛玉ファンタジー!(『有頂天家族幻冬舎文庫 背表紙よりあらすじ)

 

大学生の頃、森見登美彦さんの『夜は短し歩けよ乙女』に出会い大はまりしました。ほんとにくだらない(すみません)のになんか面白い。そしてとっても愛がある。

 

子ども向けのファンタジーは、おはなしの世界を一緒に浮遊して、読み終わるとじんわり心が温まり、夢のような不思議な感覚がほっこりと残ります。そう、例えば『森おばけ』はそんなお話です。

それに引き換え、『有頂天家族』という大人向けファンタジーには、どぎつい、きたない、なさけない、ような表現もたくさん出てくるため、ふわ~とした優しい気持ちにはなりません。読み始めると、うわぁ~ってなってぐるんぐるん回されて、あっちこっちぶつけながらひぇ~ってなって、だんだん速度と温度が上がっていって、最後はぽいっとたたき出される感覚です。でも痛くないし、辛くない。それになんだか心があつあつに湯気を立てている。「なんだったんだ…?ま、いっか」てなもんです。

 

まあ、この二冊(森おばけと有頂天家族)をわざわざ比較することはないのですが、とにかく大人向けのファンタジー小説。疲れている人におすすめです。あまりにバカバカしすぎて読み進めるのが辛い、という人は、本当に疲れきっているのだと思うので、早めに布団に入って寝てください。

 

夜は短し歩けよ乙女』 森見 登美彦 作

:冴えない男子大学生と、彼が想いを寄せるサークルの後輩女子が、不思議な珍事件に巻き込まれていく。男女が交互に語るスタイルで、恋愛小説ではないところがミソ。

 

Mochiguma Translations

『恋文の技術』森見 登美彦 作

:様々な登場人物たちが、互いに送り合う手紙だけで成立している小説(書簡体小説というそうです。)手紙のやりとりだけでちゃんと物語が進行していく。こっそり盗み読みしているようでとても愉快。三島由紀夫の『レター教室』に通じる印象です。