新米学校司書がゆく!ぎばのブログ

本のページをめくるように、日々をワクワク過ごしたい。

私が学校司書をめざしたきっかけ

図書室と図書館、そして司書

こんにちは、ぎばです。

みなさん”学校の図書室”といったらどのようなイメージを持っていますか。

本がたくさんあってちょっとほこりっぽくて、本が好きなこどもが行く部屋、みたいなイメージありませんか。実際、私もそうでした。

私は図書室が好きなタイプの小学生でした。本が大好きだったから。

当時は、代本版という木製の板を本を抜いた書架にさしこむ制度がありましたよね。(若い人は知らないかもしれません)

代本版

それを持ってしょっちゅう図書室に通っていた記憶があります。低学年のうちはね。

 

でもその記憶しかないのです。本は好きでいつも読んでいたけど、おそらく学校図書室の本ではだんだんつまらなくなって、本屋さんに行ったり公立図書館に行ったりしていたのではないかと思います。お小遣いで本を買っていた頃は、古本屋さんにも行きました。

 

学校の図書室は、いまいちパッとしない品揃えで、影の薄い存在だったのです。

 

しかし現在は、授業での図書室利用がとても大切にされているそうです。

学校の図書室は、いま”学校図書館”と呼ばれています。本があるだけで死んでいる部屋という印象の”室”から、常に活性化され子どもたちの学習の発展に寄与する場所という印象の”館”に格上げした、ということだそうです。

小学校の教科書をのぞいてみると、”学校図書館を活用しよう””図書を用いて調べる”など、図書室で調べ学習をしたり、図書という授業があったりします。

そこで、本が好きな子もそうでない子も、半ば強制的に図書と触れ合う機会を与えられるわけです。でも、それってすごく大きなチャンスだな!と私は思います。

 

本を読むことは想像力を膨らませ、様々なジャンルに触れることは世界観を広げます。

静読することは集中力を養います。

また、調べ学習で本を開くことは、知りたい答えに向けて時間をかけてと取り組むという忍耐力を育てると、私は思うのです。だから、ひとりでも多くの子どもたちに、本と触れ合ってほしい。

本が嫌いな子は公立図書館に行くことはないかもしれませんが、学校には行きます。

そこで少しでも面白いな、と思えたらハッピー!へぇ~、ぐらいの感想でもいい。

授業や友達を通して、「(本はあんまり好きじゃないけど)面白い本もあるんだ」と感じてもらえたら最高!

 

私はこういった可能性を感じて、この仕事に挑戦することを決めました。

自分がごく当たり前に楽しんでいた読書を、生業に出来るかもしれない。

それは、今後どういう仕事をしたいかについて悩んでいた私にとって、とても大きなことでした。

 

恩師のひとこと

そもそも、私は学校司書という仕事を知りませんでした。

大学で司書資格を取得していたものの、公立図書館や博物館などは募集も少なく、就職は難しいらしい…ということを聞き、それを仕事にすることは考えていませんでしたし、学校に勤める人はひとえに教職が必要だと思っていたからです。しかも、昔は図書室に常駐する先生などおらず、そういう仕事が存在するということ自体知らずにおりました。

 

きっかけは、小学校時代の恩師H先生でした。

 

2023年3月某日、久しぶりにH先生に連絡を取り、ランチのお約束をしました。

小学5・6年次の担任の先生でしたが、当時筋金入りのはねっかえりだった私を手なずけてしまった(笑)すごい先生で、卒業後もなにかと連絡をとり、同窓会を開催し、結婚披露パーティーにも参加していただいた、私の人生で1番の恩師です。その後別の学校で校長となり、教育委員会にもいかれ、現在は60代ですが大学で非常勤講師をされているとか。私も結婚後はなにかと忙しく、お会いするのは9年ぶりでした。

 

「先生ぜんぜん変わらないですね」

「あなたもね」

久しぶりとは思えない空気間で、食事をしながら会話がはずみ、その中で仕事を辞めたことを話しました。退職後3か月が経過したころで、今後の人生についてそろそろ方針を決めないと、と考えていた頃でした。

 

仕事はしたい。働くことは大好き。

でも、娘が小学生のうちはあまり長い時間一人にしたくない。

夫が、好きなことをしたらいいと言ってくれているので、収入はたくさんはいらない。けれど、まったく働かないのは金銭面もキャリアブランクが空きすぎるのも不安。

 

私はずっと事務系のお仕事をしてきたので、正直事務職ならどこかしらでお仕事を頂けるという自負はありました。ただ、自分が好きなことに携わりたいという思いがずっとあり、結婚・出産後は勤務時間や勤務地などを基準に仕事を選んできたため、これを続けていていいのかな、と自分に疑問があったのです。

新卒で勤めた節句人形の商社は、まさに自分が好きな場所でした。雛人形や兜、鎧などの仕入を担当し、日本の伝統文化を継承する会社に入れたことを誇りに思って、毎日激務ながら生き生きと働いていました。その当時のことがずっと、頭から離れなかった。

 

でも、子を持つ母になった今、当時のように夜遅くまで残業するわけにはいきません。家事もしないといけないし、なにより子どもと過ごす時間は今のうちに確保したい、という気持ちがあったからです。

 

とまあ、そこまで詳しく話しませんが、どうしようかなぁと思ってるんですと世間話的にしたとき、「学校司書はどう?」と先生に言われたのでした。

「あなたずっと本が好きだったでしょ。それに司書持ってるんでしょ。学校の図書館なら、学校のカリキュラムに合わせて働けるから、自分の子どもとも生活リズムが近いかもしれない。非常勤だから収入は高くないけど、考えてみたら?」

「どんな仕事なんですか」

「たとえばね、授業に関連したコーナーを作って展示したりするのよ。すると子どもたちが見に来る。あ、これ社会でやってる!とか言って、興味を膨らましたりしてね。あなたそういうの好きでしょ?向いてると思うけど」

その途端、学校図書館のイメージがぱぁーっと現れました。なにそれ、すごい。面白そう。

 

先生ってすごいですね。私が小学生だった当時も、色々なヒントを出したり投げかけをしてくれて、私たちもそれに食いついて、常にワクワクしながら充実した2年間を過ごさせてくれたのですが、その当時の私をいまの私の中に見つめるように、そういう話をするのです。そしてまんまと私はワクワクさせられていました。

 

「楽しそう!ちょっと、自分でも調べてみます」

それから、公立図書館で学校司書にまつわる本を数冊借り、仕事のイメージを膨らませました。どれも長年勤めていらっしゃる司書さんばかりで、本当にいろいろな取り組みをされていて、大いに刺激をうけました。子どもに関わるって責任重大だけど、面白そう。やってみたい。そう思うのに時間はかかりませんでした。

 

ちなみに、書類選考を合格し、面接を受けに行った日の帰り道、H先生に改めて受験したことを報告しましたが、まだ結果も出ていないのに送ってくださったメールがとても嬉しかった。

”良かったですね。貴方のような人が図書室にいたら、子どもや先生は助かります。合格の知らせを待っています。”

絶対合格の報告をしたい。固く念じた瞬間でした。

 

実際はやってみなければわからない。困難なこともたくさんあるだろうし、愚痴や弱音も言うかもしれません。理想と異なる現場に配属されるかもしれない。でも、いまのこの気持ちを大切に、新しい仕事に向かっていきたいと思います。自分で忘れてしまったらこのブログを見返すつもりで書いています。

 

長くなってしまったので、次は学校司書受験編で。